出会ってから3年を迎えて<8>

彼と一日中一緒にいると、やっぱり「二人は同棲カップルなのかな?」と疑われることがある。

 

一度、ある人から面と向かって「お二人は付き合ってるんですか?」と質問されたことがあった。僕たちとその人とは何度も面識があった。僕たちも「多分、同性カップルって疑われてるよね」と話していたので、とうとう質問が来たかと思った。

 

その時の彼はといえば「さぁ……どうなんでしょうか?」と意味深な返答をした後、沈黙という状態で、ほぼ「僕たちはゲイカップルです!」と認めているようなものだった。その反応の酷さに、その場ですぐにフォローができなかった。

 

後日、彼にその場面での気持ちを質問したところ。彼らしいというかなんというか「嘘を付きたくなかった」というものだった。確かに嘘はついていない。でも認めてもいない。彼らしくて不器用な人間というかなんというか、あのシーンを思い返すと今でも笑ってしまう。

 

逆に、僕は嘘を付くのに全く躊躇いがない。はっきりって嘘を付くのに微塵も躊躇しない。どんなに親しい人であろうと必要であれば嘘をつくことに全く後ろめたさがないという冷酷な人間だ。

 

その質問をしてきた人と、すぐ後に二人きりで話す場面を作って、事前に考えていた言い訳を言って、その人の誤解というか、本当は誤解じゃなく正解なんだけど、適当にごまかしておいた。もっともらしい理由をいくつか説明して「あぁ。そういう関係だったんですね」と納得させ正解じゃなくて誤解をさせておいた。

 

ただ、僕は別に誰かにゲイカップルだと知られることは嫌ではない。

 

その人は実際に信頼ができる人だったし、その人自身もマイノリティと言われる存在に近い場所にいる人だった。じゃあなんで本当のことを言わないのかというと、ゲイであることを使って有名になるとか、そういうのが好きじゃないからだ。

 

例えば、福岡でゲイカップルであることを公表して二人で変わったことをしていれば、すぐに注目を浴びて有名になるかもしれない。ただ、以前から書いている通り、僕は長期的なものと短期的なものは相反すると考えている。長い時間で見ると、長期的なものの方が重要だと考えている。短期的なものに頼ると、本質的なものをおさえることができず後で後悔することになるのが分かっているからだ。もっとやるべきことをやって、その後で自分たちがゲイカップルであることを公表するのなら良いが、目先の安易な利益を求めて飛びつくとろくな目に合わないと感じている。

 

彼との関係を本当に大切にしていきたいのであれば、長い時間をかけてゆっくりとするべきだと考えている

 

<つづく>